最近テレビやSNSで耳にする「発達障害」。発達障害は脳の特性によって行動や物事の捉え方に違いがあり、社会生活に支障が出てしまう障害のことです。
社会生活への支障とは、主に職場や学校でのコミュニケーションの問題であることが多く、「もしかしたら自分は発達障害かもしれない…」と悩む人もいるのではないでしょうか。
自分に発達障害の傾向があるかをWAIS-IV(ウェイス・フォー)知能検査という検査方法で推測できることをご存じでしょうか?
この記事では筆者が実際にWAIS-IV知能検査を受けた体験談を交えながら検査について解説します!
「受けてみたいけど、どのような検査かわからないから不安…」という方は、検査の概要や検査費用なども詳しく解説しておりますのでぜひ読んでみてください。
▼この記事はこのような人におすすめ
- 学校や職場で人間関係の困りごとがあり悩んでいる
- 発達障害の傾向があるかどうか知りたい ※WAIS-IV知能検査以外の検査も受検する可能性があります。
WAIS-IV(ウェイス・フォー)知能検査とは?
WAIS-IV知能検査とはアメリカの心理学者、デイヴィッド・ウェクスラーが開発したウェクスラー式知能検査の1種です。
知能検査自体が約100年ほどの歴史があり、WAIS-IV知能検査も初版が1955年に刊行された歴史ある知能検査。
ウェクスラー式知能検査は年齢ごとに受けられる検査が分かれており、16歳〜90歳11ヶ月までの成人が受けられる検査がWAIS-IV知能検査です。
▼ウェクスラー式知能検査の種類
WPPSI:幼児用(対象年齢2歳6ヶ月から7歳3ヶ月)
WISC(ウィスク):児童用(対象年齢5歳~16歳11ヶ月)
WAIS(ウェイス):成人用(対象年齢16歳~90歳11ヶ月)
WAIS-IV知能検査でわかること
所定の問題を解き、結果を点数にしてから統計的な処理を行い次の5つの分野の知的能力(IQ)をはかることができます。
■全検査IQ
全体的な知的能力(IQ)
■言語理解
言葉の理解、表現、語彙の多さに関連する分野
数値が高いと…言葉を使って理解したり考えることが得意。
数値が低いと…読書感想文など自分の伝えたいことを言葉にするのが苦手な可能性がある。
■知覚推理
目で見たものを理解したり、全体像を推測する能力の分野
数値が高いと…言葉を使わずに目で図などを見て理解したり論理的な思考が得意。
数値が低いと…新しい場所や知らない場所を覚えるのが苦手な可能性がある。
■ワーキングメモリー
耳から聞く短期的な記憶に関係する分野
数値が高いと…聞いたことの記憶力に優れていたり頭の中で多くの情報を処理することが得意。
数値が低いと…聞いたことをすぐに忘れてしまったり、読み書きや計算が苦手な可能性がある。
■処理速度
見た情報を素早く処理する分野
数値が高いと…単純作業や作業を時間内に終わらせることが得意。
数値が低いと…集中力が途切れやすい、タスクが時間内に終わらないといった可能性がある。

IQは100を平均として上の図のように分布しています。95%の人がIQ70〜130の間に入ると言われています。
WAIS-IV知能検査はどんなことに役立つ?
WAIS-IV知能検査は客観的に自分の知的能力をはかることができるため、自分の得意・不得意を具体的に知ることができます。
▼WAIS-IV知能検査はこのような人に最適
・学校や職場で人間関係の困りごとがあり悩んでいる
・発達障害の傾向があるかどうか知りたい(ADHDやASD傾向を調べる他の検査と併用する可能性があります。)
どうすればWAIS-IV知能検査を受けられる?
検査を導入している病院や支援機関、民間のカウンセリングルームで受検できます。
発達障害者支援センターで受検について相談することもできますので、受検するかどうか悩む場合は相談をしてみるのもおすすめです。

うみのゆみ
筆者の場合は通院先の精神科で紹介状をもらい、近所にあった民間のカウンセリングルームを利用しました。
困りごとが原因で心身に大きな影響を及ぼしている場合は先に精神科に行ってみるのも一つの手かもしれません…!
WAIS-IV知能検査の費用は?
受検する病院などによってさまざまですが、相場は1〜2万円ほどです。
医療機関では保険適用となりますが、それ以外の民間や個人のクリニックなどで実施する場合は保険適用外のため費用はやや高めで2〜3万円程度が相場となっています。

うみのゆみ
筆者は民間のカウンセリングルームで受検し、検査+1時間のフィードバック面談付きで約3万円でした。
痛い出費でしたが詳細なフィードバックをくださって大変ありがたかったです。
WAIS-IV知能検査の検査内容は?
検査の性質上詳しくお伝えすることはできませんが、これから検査を受ける方が安心して受けられるよう概要だけお伝えしたいと思います!
医師または心理士の方と1対1の形式で約1〜2時間ほど検査が行われ、計算や言語の問題が口頭もしくは紙面上で出題されます。

うみのゆみ
問題は小学校くらいのレベルでした。筆者はそれでも結構な数を間違えましたが…
そもそも普段の知能をはかる検査のため、万全な準備をすることは望ましくありません。
1対1で緊張するかもしれませんが相手はカウンセリングのプロです。
間違えても落ち込む必要はありません。
リラックスして受検しましょう。
WAIS-IV知能検査の結果について
結果が全てではない
発達障害の場合、知能検査は発達障害の傾向を推測する手段の一つであり知能検査の結果で全てが決まるわけではありません。
自分の知的能力が数値として結果に現れると思いのほかショックを受ける可能性がありますが、これまでの生き方が否定されるわけではありません。
生きづらさを解消していくヒントとして捉えると気持ちが楽になるかもしれません。
検査結果を教えてくれないケースがある?
基本的には検査がわかり次第、心理士からフィードバック面談を受けることができます。
しかし、受検する機関によっては書面のみの結果であることも珍しくありません。
受検をする前にどのように結果を報告してくれるのか、事前に確認することをおすすめします。

うみのゆみ
フィードバック面談がなしのプランだと比較的安価な数千〜1万円ほどのケースが多いので価格に釣られて安価なプランに飛び付くのはおすすめできません…!
折角高いお金を出して検査をするのですから、検査結果の報告方法は事前に確認しましょう。
ちなみに筆者は検査+1時間のフィードバック面談付きで約3万円のプランを受検しましたが心理士の方の詳しい解説付きの書面もいただけたので3万円出す価値はあるなと思いました!
WAIS-IV知能検査を2回受けることはできる?
回数に制限はありませんので2回目以降も受検することは可能です。
正確な数値をはかるために2〜3年ほど空ける必要があると考えられているため、検査を受けるタイミングは慎重に考えた方が良いでしょう。
また、受検する機関によっては主治医の紹介が必要となる場合もありますので、検査予約の際は紹介状が必要か必ず確認するようにしましょう。
WAIS-IV知能検査はオンラインで受けられる?
専門家との対話形式で問題を進めるなど問題の性質上、残念ながらWAIS-IV知能検査はオンラインでは受けることはできません。
しかし、受けたあとのフィードバック面談はオンラインでの実施が可能な機関もあります。
どうしても外出する頻度を抑えたいなど事情がある場合はオンライン面談が可能な機関を選ぶと良いでしょう。
▼知能検査のフィードバック面談をオンラインで受けられる機関の例(※外部サイトへ遷移します)

まとめ
「自分は何か他の人と違う」といった悩みごとは、もしかしたら発達障害の傾向があることが原因かもしれません。
筆者は発達障害グレーゾーンですがそのような悩みごとが尽きない生活を送っていました。
WAIS-IV知能検査を受けてからは自分の得意なこと、苦手なことが明確にわかり、特に苦手なことには気を付けて取り組むようになりました。
具体的には筆者は処理速度の数値が低かったため、仕事上で誤字脱字などのチェック作業は他の人より多めに時間を取るようにし、ミスを減らすことができました。
自身で発達障害の可能性を自覚していたり、社会生活上で困ることがある場合にはWAIS-IV知能検査を受けることをおすすめします。
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